星河に散りばめた愛第1話
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川城の上流社会では、深山家の若旦那は十八歳の女の子しか好まないと噂されていた。
しかし、木村愛子が深山拓也の側にいた時、彼女はすでに二十一歳で、その後も三年近く彼の側にいた。
誰もが愛子のことを、従順な犬のように深山に尽くしているだけと言った。
後に愛子が去った後、深山が幾度もの夜を、目を赤く腫らしながら彼女のマンションの下で待ち続けているのを見た者もいた。
* * *
川城の上流社会では、深山家の若旦那は十八歳の女の子しか好まないと噂されていた。
しかし、木村愛子が深山拓也の側にいた時、彼女はすでに二十一歳で、その後も三年近く彼の側にいた。
夕暮れ時、愛子は電話を受け、拓也が夜に川城に戻ると言い、梅干し入りのスペアリブが食べたいとも漏らした。
愛子は二時間かけて料理を作り終え、テーブルいっぱいに並べたが、待てど暮らせど拓也は戻って来なかった。
八時過ぎ、電話をかけると、拓也のいる場所は賑やかで、男女の笑い声や麻雀の音が聞こえてきた。
「......蘭亭にいる。車を回して迎えに行かせる」
「夜に戻って来て食事するって言ったじゃない?」愛子が尋ねた。
「まだ食べてないのか?何か食べたいものがあれば、こっちに来たら作らせるよ」拓也は気にする様子もなかった。
愛子は少し黙り、「わかっ」と言いかけたその時、電話の向こうで「和了!」という声が響いた。
バタバタという雑音の中、誰かが笑いながら言った。「木村さんって一体何がそんなにいいんだ?こんなに長くても飽きないなんて。深山さん、まさか本気じゃないでしょうね?」
拓也は鼻で笑って言った。「頭の中の水抜いてから話しかけろ」
「わかってないなぁ。犬だって長く飼えば情が移るってもんだ。まして愛子ちゃんみたいに従順な犬なら、深山さんだって手放せないでしょう!」
「うるせぇな!」拓也は笑いながら罵った。
また一阵のガヤガヤと、しばらくして静かになった。
おそらく拓也が電話が切れていないことに気付いたか、切った。
愛子がクラブに着いた時、麻雀はまだ続いており、先ほど電話で話していた面々もそのままだった。
しかし誰も気にかけなかった。愛子がどんなことを聞いても気にせず、気にする勇気もないと、皆が確信していたからだ。
愛子は美人だった。だが美人など大勢いる。川城での深山の地位と身分なら、どんな美女でも手に入れられる。それなのに愛子が深山の側にこれほど長くいられたのは、ただ従順で物分かりが良いからに過ぎなかった。
案の定、愛子は深山の隣に目を伏せ、おとなしく座った。
深夜、クラブを出る頃には深山は少し酔っており、愛子に全身を預けていた。
愛子は彼を車に乗せ、薄く汗を掻いていた。
車は山を下り、街灯一つない真っ暗な道を走っていた。まるで人里離れた場所のようだった。
深山が愛子にキスをしてきた。
愛子は姿勢を正していたが、耳たぶを吸われた時、小さな声が漏れてしまった。
深山は更に興奮し、彼女の手を下へ押しつけ、全身で覆い被さってきた。
「あ、やめ......」愛子は蚊の鳴くような声で、慌てて前の席を見た。
深山は止めず、逆に後ろ手で仕切りを叩いた。
車はゆっくりと路肩に停まった。
深山は手慣れていて、大胆で遠慮がなかった。愛子は彼と長くいても、まだ慣れず、運転手が降りてドアを閉める音を聞いた時、顔を真っ赤に染めた。
深山はそんな彼女の様子が特に好きらしく、頬を摘んでから顎を掴んで再びキスをし、空いた手でベルトを外し始めた。
狭い空間で、深山の動きは激しく荒々しかった。
深秋の夜に、二人とも汗を掻いていた。
愛子は顔を上げ、深山の整った顔から汗が顎へ、喉仏へ、胸へと流れていくのを見つめていた。
認めざるを得なかった。深山家の跡取り息子という身分を抜きにしても、この男は容姿だけで多くの女性を虜にできるはずだった。
深山は彼女の視線に気付き、笑った。「何を見てるんだ?今更照れるのか」
愛子が答える前に、手首に冷たいものが触れ、カチッという音と共にダイヤモンドがびっしりと埋め込まれたブレスレットが嵌められ、腕を滑り落ちた。
「誕生日プレゼントだ」
深山は満足げに体を起こし、だらしなくシャツを手に取った。
愛子は目を伏せた。携帯の時計は0時を回り、10月19日を示していた。
実は、これは彼女の誕生日ではなかった。
「ありがとう」愛子は深山の腰に抱きつき、頬にキスをした。
その時、携帯の着信音が鳴り、愛子が思わず見やったが、深山の方が先に電話に出た。
「拓也さん......」鈴木咲良のすすり泣く声が狭い車内に響いた。
深山は一瞬で姿勢を正した。「どうした?落ち着いて、ゆっくり話して」
向こうではただ泣くばかりで、何も言わなかった。
深山は眉を寄せ、素早くシャツのボタンを留めながら「すぐ行く」と言った。
電話を切ると、最後のボタンを留め、「降りろ」と言った。
説明も、愛子が身なりを整える時間すら与えられなかった。
愛子はコートを纏い、雑草の生い茂る路肩に立ち、深山の車が闇に消えていくのを見つめていた。
体の汗が冷風に晒され、少しずつ引いていき、肌に張り付いていった。
ポケットの中で携帯が震え、愛子は取り出した。
「ほら見て、私の一本の電話で、彼はあなたの元から去っていくのよ」
得意げな態度が画面から溢れ出ていた。
愛子は襟元を開き、赤く染まった首筋を写真に撮って送信した。
しばらくして、メッセージが届いた。
「恥知らず!!!」
愛子は口元をわずかに歪めた。
メッセージは次々と届き、見なくても「演技よ」「狐女」といった罵詈雑言だろうと愛子には分かっていた。
携帯をポケットに戻し、風に震える自分を抱きしめながら、自嘲的に笑った。
こんな日々も......
あと11日で終わるのだから。
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