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愛人が妊娠?親権と慰謝料をもらい即離婚する第1話

この話は約2454字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

除夜の鐘が鳴り響く中、原田雅美(はらだ まさみ)に今年の最初のプレゼントが届いた。

夫が他の女と親密にしている写真だった。

10分前まで娘を抱いてパフォーマンスを見ていた夫が、今は別の女と寝ている。

ほぼ同時に、原田グループの御曹司が新人女優と密会しているというゴシップが、SNSのトレンドを埋め尽くした。

屋敷では、パーティーの参加者たちが一斉に雅美に視線を注ぎ、彼女の反応を待っていた。

「奥様……」秘書の中村拓也(なかむら たくや)が早足で近寄ってきたが、どこか緊張している様子だ。

「いつものやり方で、トレンドをさらに盛り上げ、火をつけてしまいましょうか?」

雅美の声は淡々としていた。「ううん。広報部に連絡して、噂をもみ消して」

拓也は呆然と立ち尽くした。

* * *

除夜の鐘が鳴り響く中、原田雅美(はらだ まさみ)に今年の最初のプレゼントが届いた。

夫が他の女と親密にしている写真だった。

10分前まで娘を抱いてパフォーマンスを見ていた夫が、今は別の女と寝ている。

ほぼ同時に、原田グループの御曹司が新人女優と密会しているというゴシップが、SNSのトレンドを埋め尽くした。

屋敷では、パーティーの参加者たちが一斉に雅美に視線を注ぎ、彼女の反応を待っていた。

「奥様……」秘書の中村拓也(なかむら たくや)が早足で近寄ってきたが、どこか緊張している様子だ。

「いつものやり方で、トレンドをさらに盛り上げ、火をつけてしまいましょうか?」

雅美の声は淡々としていた。「ううん。広報部に連絡して、噂をもみ消して」

拓也は呆然と立ち尽くした。

周りのひそひそ話が一瞬止まったかと思うと、さらに大きなざわめきとなって爆発した。

「……今の聞いた?揉み消す?聞き間違いじゃないわよね?」

「昔なら、渉さんの顔を潰すために何でもやっただろうに」

「本当よ。前に渉さんがモデルと車でいるのを撮られた時は、車をハンマーで壊してたわ」

「前回だってそう。パーティーの最中にあの豪華なクルーザーを焼き払ったのよ」

「毎度あの騒ぎぶりだものね。狂ったふりじゃ渉さんの心は留められないと気づいたのかしら?戦術を変えて、物分かりのいい妻を演じ始めたのね?」

そんな陰口は、容赦なく雅美の耳にも届いた。

雅美は聞き流し、何食わぬ顔でパーティーの進行を続けた。

誰もが彼女は、ただ騒ぐよりも手段を変えただけなのだろうと思っていた。

けれど2年間も続いて、雅美ももう疲れてしまったのだ。

パーティーのあと、遊び疲れて寝入った娘を寝室に運ぶと、雅美は書斎に向かった。

扉を叩くと、原田楓(はらだ かえで)がソファで眉間を押さえながら座っていた。

「お義母さん」雅美がそっと呼びかける。

楓は顔を上げ、隠しきれない申し訳なさを表情に滲ませた。

「雅美、本当に辛い思いをさせたわね……今すぐあのバカ息子に電話するわ!」

通話ボタンを押すとスピーカー越しに鋭い声が響いた。

「渉!年越しに家にいないでどこにいるの?すぐに戻ってきなさい!」

電話の向こうからは賑やかな音楽と、女の嬌笑が聞こえてくる。原田渉(はらだ わたる)の声はひどく投げやりだった。

「母さん、今は忙しいんだ。明日になったら謝りに行くから。

今日は友達の誕生日なんだよ。一緒にケーキを切る約束をしててさ。あ、雅美によろしく言っておいて。今日の対応は良かった、物分かりが良くなったなって。少しは『社長夫人』らしくなってきたよ。またな」

楓は胸を大きく波打たせて怒り、スマホをソファに叩きつけた。

「本当に救いようのない子ったら!」

雅美はふわりと笑った。瞳には穏やかな光が宿っていた。「お義母さん、今日はもう彼への非難を聞きに来たのではありません」

楓がきょとんとする。

雅美は穏やかに告げた。

「5年前に私の母の肝臓が限界を迎えた時、命を繋いでくださったのはお義母さんの善意でした。その恩は決して忘れません。

ですから、渉を繋ぎ止めて落ち着かせてほしいと頼まれた時、私は承諾しました。

精一杯努めましたよ。でも、翠が生まれて1年も経たずに元通りになってしまいました。ここ2年間、私も見っともないほど泣き叫んだし、出来る限りのことは全てやりました。でも、私には彼を留められませんでした」

楓は深い溜息をつき、冷たくなった雅美の指先をそっと握った。

「可哀想なことをしたね。恩で縛り付けてしまったのは、私の方よ。いいわ、望むことは何でも言ってごらん」

雅美は手元から一通の書類を取り出し、楓の前へ差し出した。

「離婚させてください。それから、翠の親権を譲ってください」

楓は複雑な表情でしばらく沈黙していたが、静かに頷いた。

「いいよ。手配してやる。その代わり、あと2週間だけ私のそばにいてちょうだい」

雅美は微笑んで小さく頷き、その場を後にした。

ドアノブに手をかけた時、背後から独り言のように楓の声が聞こえた。

「渉は最初、あなたに一目惚れしたから、あんなに執拗に追いかけ回していたのに……」

雅美の足がわずかに止まった。

確かに、かつての渉は雅美に真心があったのだ。

東都きっての遊び人が、雅美のために女遊びをキッパリとやめ、ひたむきであろうと学んでいた時期があった。

プロポーズの時、渉は公証書類を渡し、「俺のすべてはお前のものだ。そして、俺自身もお前のものだ」と言ってくれた。

娘の原田翠(はらだ みどり)が生まれた夜、雅美が難産で命が危うかった時、彼は初めて神仏にすがり、「自分の寿命の半分と引き換えにしてもいい」と願った。

かつて渉が注いでくれた愛情の全ては嘘ではないと思いたかった。世間の誰もが、「遊び人の改心」というお伽話を信じたのだ。

けれど真心ほど、移ろいやすいものはない。

1階へ降りると、スマホの画面が明るく光った。

渉からの多額の振り込み通知と共に、メッセージが表示されていた。

【みんなお前が丸くなったって言ってるぞ?いい女ぶりを見せるなんて、ガラじゃないな】

【今から『クラブ・星影』へ来るんだ。先月お前が潰そうとした例の会員制クラブだけど、再開したばかりだ】

【コンドームを持参しろ】

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