愛は、行き違いの果てに第3話
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私は何も言わず、彼女の思惑通りに崩れたり取り乱したりすることもなく、ただ静かに背を向けて立ち去った。
貞吾が、かつて私たちが共に暮らした家に再び戻ってきたのは、それから一か月後だった。
その時、映画チャンネルでは、玲奈が私から奪ったあの映画が放映されていた。
ヒロインは凛々しく颯爽としており、その一顰一笑にまで鋭気が宿っていた。
貞吾はそれを見ながら、目に淡い賞賛の色を浮かべ、私に振り向いて言った。
「綺麗だろ。最初から言ってただろ、玲奈は生まれつきの役者だって」
私は画面を見つめ、もう何も感じないと思っていた心に、かすかな痛みが走った。
ソファから立ち上がり、貞吾とすれ違おうとした瞬間、彼に腕を掴まれた。
次の瞬間、私はソファに押し倒された。
しかし、あの鼻を突く香水の匂いが再びまとわりつき、胃がむかむかしてきた。
吐き気をこらえるのに必死だ。
私の拒絶を感じ取ったのか、貞吾は耳元に顔を寄せ、静かに息を吹きかけた。
「俺たち、どれだけ長く触れ合ってないと思ってる?俺に会いたくなかったのか?」
身体の震えは、逆に私の嫌悪感をさらに強めた。
この手慣れた仕草は、玲奈と何度も繰り返して身につけたに違いない。
そう思った瞬間、私は力いっぱい彼を突き放した。
すると、淡々と告げた。
「気持ち悪い」
私の顔にあからさまな嫌悪が浮かんでいるのを見て、貞吾の眉間に次第に怒りが集まった。
「どういう意味だ?
愛してるって言ってただろ?どうした?もう演じきれないのか?」
目の前の貞吾を見ても、かつて私が愛した人の面影は、どこにも見つからなかった。
「それは昔の話よ、今はもう愛してない。
だから、触れられるだけでも気持ち悪いの。
それと、念を押しておくけど、貞吾、私たちはもう離婚してる」
「離婚」という言葉を聞いた瞬間、貞吾の顔に一瞬の動揺が走った。
「離婚だなんて縁起でもないこと、軽々しく言うな」
そう言って服を着ると、ドアを閉めて出て行った。
私は分かっていた。彼が向かった先はきっと玲奈のところだ。
ほどなくして、玲奈からメッセージが届き、私は自虐的な気持ちでそれを開いた。
スマホから漏れる戯れた声は小さかったが、刃物のように私の心を刺した。
「美羽と私、どっちがいい?」
「もちろんお前だよ。あいつはいつも不機嫌な顔をしてて、本当に気持ち悪い。
触らせもしないし、その点、お前の方がずっといいんだ」
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