情の幕切れ第1話
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結婚して五年、拓海は彼と愛人の子供を守るために私にお腹の子を堕ろすよう強制しただけでなく、取締役会と結託して私を副社長の座から追い出そうとした。
彼は恵美を抱き寄せ、悪意の笑みを浮かべて言った。
「美穂、お前が俺の言うことを聞かないなら」
「これからは恵美がお前の代わりを務める」
私は彼の手を振り払い、恵美を強引に引き寄せた。
彼女がもがくのも構わず、髪を掴んで無理やり顔を上げさせた。
「さあ、言ってやりなさい。お前は一体誰のものなんだ?」
* * *
結婚して五年、拓海は彼と愛人の子供を守るために私にお腹の子を堕ろすよう強制しただけでなく、取締役会と結託して私を副社長の座から追い出そうとした。
彼は恵美を抱き寄せ、悪意の笑みを浮かべて言った。
「美穂、お前が俺の言うことを聞かないなら」
「これからは恵美がお前の代わりを務める」
私は彼の手を振り払い、恵美を強引に引き寄せた。
彼女がもがくのも構わず、髪を掴んで無理やり顔を上げさせた。
「さあ、言ってやりなさい。お前は一体誰のものなんだ?」
1
拓海の浮気が発覚したその日、私は家中の物をめちゃくちゃに壊した。
家政婦は慌てて何度も彼に電話をかけた。
「高橋様、奥様がまた家で暴れております」
私はその言葉に少し呆然とし、そのままカーペットに崩れ落ちた。
拓海が戻ってきた時彼の顔には深い疲れが見えた。
「美穂、またどうしたんだ?」
彼はそう言いながらネクタイを緩めるために手を上げた。
彼が手にしているネクタイの結び目を見た瞬間一瞬目がくらんだ。
朝、家を出る前に私が結んであげたのはウィンザーノットだった。
だが今目の前にあるのは——複雑な松結びだった。
それは元秘書である恵美だけが結べるネクタイの結び方だ。
彼女が秘書だった時、仕事は不器用で手際が悪かった。
だが拓海はいつも彼女に寛容だった。
私は彼に理由を尋ねたことがある。すると彼はこう説明した。
「美穂、彼女は君の負けん気が強いところとか、似ているところがあるんだ」
当時は特に気にしなかった。
新人にチャンスを与えたいのだろうと思っていた。
だが拓海が彼女のことを話題にする頻度は徐々に増えていった。
失敗ばかりと文句を言いながらも、その顔には微妙な愛情が見えた。
私は彼と激しく言い合い、恵美の解雇を求めた。
彼は眉をひそめ冷たい口調で言った。
「美穂、お前はいつも理不尽だ」
最後には彼が折れてくれた。
私は勝利した気分でひそかに喜んだ。
だが、私は忘れていた。
男が心変わりをしようとするのは誰も止めることはできないのだ。
拓海は確かに秘書を交代させた。
だが、彼女をベッドに連れ込み今も大事にしている。
そして何も知らないふりをしている私の姿を冷めた目で見つめていたのだ。
まるで愚か者のように。
私はカーペットに座り込み、彼を見上げて言った。
「恵美が辞職した後、彼女はどこへ行ったの?」
拓海の顔は一瞬にして険しくなった。
「今日のお前の狂乱は、その被害妄想のせいなのか?」
私は彼のことをよく知っていた。
だから彼の怒りの中にある焦りをすぐに見抜いた。
私は受け取った写真を一枚一枚、彼の前に広げた。
そこには拓海と恵美の親密な姿がはっきりと写っていた。
それは誰にも言い逃れできない証拠だった。
感情を抑えようとしたが、体の震えは止まらなかった。
私の問い詰めに対し拓海は一言も答えなかった。
しばらくして、ようやく彼が口を開いた。
声はかすれていた。
「全部知っていたのか」
拓海は恵美との過去を素直に語り始めた。
まるで陳腐なアイドルドラマのような展開だった。
最初は確かに彼女のような不器用な新人には興味がなかった。
だが、彼が多くの不運に見舞われたとき、
そばにいてくれたのは若くて元気な新人だったと語った。
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