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恋人の異性関係、どこまでなら許せる?第1話

この話は約2391字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

深夜、彼氏と冷戦状態のまま眠れずにいた私は、スマホをスクロールしていた。そのとき、トレンドに上がっている話題が目に入った。

【恋人の異性関係、どこまでなら許せる?】

思わず、私も同じことを問い返したくなった。なにしろ、彼の「許容範囲」はゼロに等しい。

男性の同僚と仕事の打ち合わせをしただけで、三日間も不機嫌になる。それが彼だ。

コメント欄には、こんな意見があった。

【愛って独占欲でしょ。本気で好きなら、許せる範囲なんてどんどん狭くなるよ】

けれど、すぐに別のコメントがついた。

【それは一概に言えないよ。

私はね、すべての男に「帰る場所」を用意してあげる主義なの。3人目のパパにバレて修羅場ったときも、向こうが「別れないで」って必死にすがってきたし。今も普通に毎月一百万円、生活費として振り込んでくれてるけど。

「君の飼い犬でいい。俺のこと、ほんの少しでも想ってくれてるならそれでいい。そばに置いてほしい」って】

そう書き込むと、彼女は何枚も送金履歴のスクリーンショットを投稿した。

添えられていた振込画面のアイコンは、まさか私の彼氏のアイコンとまったく同じだった。

幼なじみが私に「誕生日おめでとう」と声をかけただけで、怒ってドアを叩きつけて出ていったのに。

* * *

私の名前は吉野遥(よしの はるか)。

深夜、彼氏の榊涼介(さかき りょうすけ)と冷戦状態のまま眠れずにいた私は、スマホをスクロールしていた。そのとき、トレンドに上がっている話題が目に入った。

【恋人の異性関係、どこまでなら許せる?】

思わず、私も同じことを問い返したくなった。なにしろ、彼の「許容範囲」はゼロに等しい。

男性の同僚と仕事の打ち合わせをしただけで、三日間も不機嫌になる。それが彼だ。

コメント欄には、こんな意見があった。

【愛って独占欲でしょ。本気で好きなら、許せる範囲なんてどんどん狭くなるよ】

けれど、すぐに別のコメントがついた。

【それは一概に言えないよ。

私はね、すべての男に「帰る場所」を用意してあげる主義なの。3人目のパパにバレて修羅場ったときも、向こうが「別れないで」って必死にすがってきたし。今も普通に毎月一百万円、生活費として振り込んでくれてるけど。

「君の飼い犬でいい。俺のこと、ほんの少しでも想ってくれてるならそれでいい。そばに置いてほしい」って】

そう書き込むと、彼女は何枚も送金履歴のスクリーンショットを投稿した。

添えられていた振込画面のアイコンは、あの彼のアイコンとまったく同じだった――幼なじみが私に「誕生日おめでとう」と声をかけただけで、怒ってドアを叩きつけて出ていったあの彼。

私は手が震えて、スマホを持つのもやっとだった。

ありえない。

涼介は潔癖症だ。生活面でも、感情面でも。

幼なじみと私が話すだけで怒る彼が、まさか、誰かの「飼い犬」になるつもり?

絶対に偶然に違いない。

世界には同じアイコンを使う人なんていくらでもいる。

私はなんとか息を整え、ページを閉じようとした。

だが、指先がまるで勝手に動くかのように、この「甘々バービー」というニックネームの人のプロフィールを開いてしまった。

一番上に表示されている投稿――それは、10分前にアップされたものだった。

【3人目のパパからもらった限定時計。値段だけで言えば一番じゃないけど、何より扱いやすいのが最高】

添付された写真には、細い手首にダイヤ入りの女性用時計が光っていた。

その時計……

昨日、涼介が自分のSNSに投稿したばかりのものだ。

添えられた言葉は――

【頑張った自分へのご褒美。そして、一番大切な人へ】

私は当時、それが自分への謝罪のプレゼントだと思った。

だが、私が勘違いしたのだ。

コメント欄には、こんな意地悪な書き込みもあった。

【3人目のパパって、めっちゃ老けててブサイクなんじゃない? なんであんなに低姿勢なんだ?】

「甘々バービー」は怒り心頭に達したらしい。

彼女はすぐに返信する。【老いぼれ?ブサイク?目が悪いなら病院行けば?】

さらに、彼女は一枚の写真を投下した。

【イケメンの極みって、見せてあげるよ】

写真の背景は、市内で最も高級な料亭。

男性は一心にスマホの画面を見つめていた。横顔の輪郭は硬く、顎のラインは彫刻のようにくっきり。

高い鼻筋に、薄い唇。

耳の後ろには小さな黒子。

――間違いない、涼介だ。

ゴロゴロと雷鳴が落ちたような衝撃。

涼介への信頼が、一瞬で音を立てて崩れ落ちた。

私は画面を凝視した。涙は出ない。

ただ、全身が凍りつくように冷たかった。

この七年間、ずっと彼が巧みに仕組んだ「トゥルーマン・ショー」の中にいたんだ。

午前四時。

玄関から指紋認証ロックの解除音が聞こえた。

私は慌てて携帯の電源を切り、枕に顔をうずめて息を整えた。

その瞬間、寝室のドアが開いた。

濃い酒の匂いが、夜の冷気をまとって、一気に近づいてきた。

温かい手が背後から私を抱き寄せる。

「遥……」

涼介の声はかすれ、ほろ酔いと疲労が混ざったようだった。

「もう寝た?」

彼は顔を私の首元に埋め、温かい息を肌に吹きかける。

私は寝起きのふりをして、ぼんやりと体を向けた。

「涼介?」

枕元の暗い灯りの下で、彼の顔を見た。

いつもの、優しくて切なげな表情。眉を少し寄せて、まるで世界に傷つけられたかのような顔をしている。

「遥、ごめん」

彼は私の手を取って、自分の頬に擦り付ける。

「この数日連絡しなかったのは、俺が耐えられなかったからだ」

「君が他の男に笑うのを想像するだけで、嫉妬で狂いそうになった」

「愛しすぎて、失うのが怖くて、敏感になっちゃったんだ」

「許してくれるか?」

完璧すぎるセリフ。

私は吐き気をこらえながら、無理に笑みの形を作った。

「私も悪い。誤解させちゃったね」

涼介は明らかにほっとした。

彼は胸から小さなジュエリーボックスを取り出し、私に差し出した。

「君が前にこのネックレス好きって言ってたから、特別に買ってきたんだ」

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