御曹司の悔恨~捨てたメイドが一番愛された~第1話
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昼間はメイド、夜は彼の慰み物。
あの日、いつものように、痛みに耐えながら小泉京志とやった。用が済むと、乱暴にも私をベッドから引きずり起こした。
「明日から来なくていい」と、吐き捨てるような声だった。
それを聞くなり、私は思わず足元が崩れ、ドシンとその場にひざまずいた。
「わ、私……何か粗相をしましたか?どうか、どうかお追い出しにならないでください」
ついさっきまで優しく囁いてくれた男が、今は冷たい目で私を見下ろしている。
「栞が結婚を承諾してくれた。彼女は痛がりだからな。お前はただの練習台だ。使い終われば、それで終わり」
さらに、唇を歪めて続ける。
「お前は従順だろ、どうするか分かっているよな」
* * *
昼間はメイド、夜は彼の慰み物。
あの日、いつものように、痛みに耐えながら小泉京志(こいずみ ちかゆき)とやった。用が済むと、乱暴にも私をベッドから引きずり起こした。
「明日から来なくていい」と、吐き捨てるような声だった。
それを聞くなり、私は思わず足元が崩れ、ドシンとその場にひざまずいた。
「わ、私……何か粗相をしましたか?どうか、どうかお追い出しにならないでください」
ついさっきまで優しく囁いてくれた男が、今は冷たい目で私を見下ろしている。
「栞が結婚を承諾してくれた。彼女は痛がりだからな。お前はただの練習台だ。使い終われば、それで終わり」
さらに、唇を歪めて続ける。
「お前は従順だろ、どうするか分かっているよな」
……
頭が真っ白になった。彼は結婚する?そんな現実を受け止める力は私にはなかった。
立ち尽くす私を、京志は眉をひそめるようになった。
「まだいるのか?」
私は慌てて、破れた服をかき集めた。
「かしこまりました」
かすれた声で答え、破れた服を丁寧に身にまとい、足の痛みを我慢しながら、部屋を出ようとした、そのとき――
「待て」
短い声が背後から追っかけてくる。
私は思わず振り返り、微かな希望が萌えだしたところ、頭に彼の上着が無造作にかけられた。
結局、勘違いだった。
「その格好、みっともない。せめて上着着ろ。
あと、避妊薬も忘れるな」
その言葉が氷水のように心の奥まで染み渡る。息潜めた希望は跡形もなく消え去った。
私はぎこちない足取りで部屋を出て、静かにドアを閉じた。
長年、京志に期待していること自体が間違いだったかもしてない。
涙をこらえながら自室に戻ると、引き出しを漁り、手当たり次第に避妊薬を飲み込んだ。
三年間、こんな日々が続いている。
手鏡を見て、身なりを整え、仕事に行く支度をしている私、不意に首筋に残るキスマークに指先を当て、昔の記憶が蘇ってくる。
京志との始まりは単に偶然だった。
パーティーで、小泉家のライバルが彼の飲み物に薬を入れた。それを私が飲んでしまったのだ。
常に彼のそばに控えるよう命じられていたから、薬が効いた時は二人きりだった。
理性を失った私は、地面にひざまずき、泣きながら「助けて」とすがった。
他の女性とは常に距離感を保っている京志はそういうことを好んでやってくれるわけがないが、逃げ場を失ったため、焦燥に駆られ、強引に私をベッドに押し倒し、してくれた。
意識を取り戻したら、目の前にいる彼の母親にビンタされた。
「十八年間も雇ってやったというのに、薬で私の息子を誘惑するとは!」
怒号を耳にしながら、裸のまま、ボディガードに地下室へと引きずり込まれた。
待っていたのは拷問。毎日、息が途切れるほど痛めつけられた。
真実の解明により、やっと解放された私は、血まみれで今にも息絶えそうだった。
私のそんな姿を見て、京志は疑惑の表情を浮かべる。
「なぜ事実を言わなかったんだ?」
私は笑って答える。
「大丈夫です」
あの時は、確かに彼に恋慕の情を抱いてしまったのだから。
それからというもの、彼は時折、私を部屋に呼び寄せたりして、用が済むと、必ず私を追い出し、一度たりとも泊めてくれることはなかった。
ただし、今夜に限って、彼は一晩中、途切れることなく私を求め続けている……
そう思うと、鏡の中の自分は笑った。そして、ふっと我に返った。
気を確かにして、服を着替え、身だしなみチェックしてから、京志の朝食を作るためにキッチンへ向かった。
他のメイドとは違い、私は生まれた時から京志に仕えるために選ばれた存在だ。
京志は子供の頃から病弱だった。「相性のいい女性をそばに置けば良くなる」という占い師の一言で、小泉家は国中を探し回っていたあげく、私を選んで、施設から引き取ってくれた。
あれは、私は七歳、京志は八歳の頃だった。
試しに、二人は一緒に暮らすようになった。まさかその五日目には、彼の体調は確かに良くなった。こうして私は京志のそばにいることとなったのだ。
子供の頃は遊び相手となり、少し大きくなると勉強を共にし、やがては専属のメイドとなった。
京志は冷徹な人とは言え、私の誕生日に、綺麗なネックレスを贈ってくれたこともある。時には、酔った彼に水を渡すと、ふいに手を握られた。彼はかすかな笑みを浮かべながらこう言ったこともある――
「安希(あき)、お前は他の誰とも違う。俺にとっては特別な存在だ」
その曖昧な言葉が種となり、やがて禁じられた感情が芽生えるようになってしまった。
「少しぐらい想ってくれるだけで十分だ」と常に自分に言い聞かせる。
だが、今日になってようやく分かった。全てが妄想だったこと。
彼の心にはただ野坂栞(のさか しおり)という名門の令嬢一人。
我に返ると、朝食のワンプレートを丁寧に盛り付ける。
すると、決意をした。
「もう必要とされないのなら、この屋敷にしがみつくべきではない」と。
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