富豪夫の裏切りと、破滅のウェディング第3話
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人々は驚いて振り返った。そこにいたのは、迎えに出ていた風磨だった。
そして、風磨の隣にいる来賓たちの身分も、皆の注目を集めた。
「見て!あの御曹司まで来ている!彼は軍界で最も権勢のある松下一族の代表だぞ」
「あっちの人は、フォーブスにも載っている財界の重鎮だ!」
「ヤバい!軍、財界、政界のトップが顔を揃えるなんて、格が違いすぎる」
「さすが億万長者の古谷風磨だ。これこそ真の人生の勝ち組だね」
風磨は人々の議論を聞いて、口角を上げ、満面の笑みでまっすぐ歩いてきた。人垣に隠れている私には気づいていなかった。
だが、この場にいる私だけが知っている。軍、商、政が風磨に顔を立てているのは、私のおかげだということを。
正確には、私の抗がん剤のおかげだ。
それは、医療市場全体を揺るがし、ひいては世界全体を震撼させるほどの薬。
もし国家の秘密保護と、あの政財界の最高権力者の重点的な配慮がなければ、私はとっくに無数の暗殺で命を落としていただろう。
それは、がんを完全に治癒する可能性を秘めた薬であり、その意義は計り知れない。
ある試算では、もし本当にがんを完全に治癒する薬があれば、その価値は数十兆円どころではない。社会にもたらす巨大な変化は言うまでもない。
国家は極秘にしていたが、それでも上層部には噂が届いていた。
そして、私の存在があったからこそ、彼らが古谷家、ひいては風磨の古谷グループに密接な配慮を示す理由となっていたのだ。
しかし、私の十数年の青春を費やして作り上げた、わずか三本の試験管分の抗がん剤が、今、地面に全てこぼれ落ちた。
私は散乱した薬液を見て、その場に泣き崩れた。
保冷箱から離れ、太陽光に晒されたそれは、すでに失活し、何の役にも立たない。
私はかろうじて体を支え、電話を取り出した。
あの久しくかけていない電話番号にダイヤルする。
向こうから冷徹な男の声が響いた。「もしもし」
私は込み上げる涙をこらえ、震える声を抑え込んだ。
「薬液が破壊されました。至急、迎えに来てください。
これ以上遅れると、あの方の命の保証はできません!」
事態の深刻さを悟った男は、即座に指示を出した。
電話の向こうで、ヘリコプターの離陸音と、軍隊が出動する轟音が聞こえた。
電話を切った後、私はその場に立ち尽くし、支援を待った。
人々はそれを見て、次々と私を嘲笑した。
「あら、随分と芝居が上手ね?」
「誰の命を救うって?まずは自分の命を救ったらどうだ!」
「後で古谷社長が戻ってきたら、この泥棒をどう処分するか、見ものだね!」
私は拳を握りしめ、目の前の人々を睨みつけた。「ええ、見てなさい。彼が私をどう処分するかをね!」
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