富家の若旦那の愛、私には遠すぎる第1話
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母の治療費を工面するために、私は手っ取り早い道を選んだ。
恋に落ちたと思ったのは、ただの思い込みだった。
実際には金持ちの若者たちに一時の遊び相手として利用されていただけ。
異常なゲームに何度か巻き込まれた末、私は自分から身を引くことを決めた。
* * *
藤原りさに誘われて、豪華なクルーズ船に乗り込んだ。
初めての仕事で、ここで中村直樹という人物にも初対面した。
「この男たち、みんなお金持ちの二世や三世で、海釣りが趣味なんだって。隣にいる女の子たちは遊び相手ばかりで、本命の彼女じゃないからね」
私はうなずきつつも、ビキニ姿に少し居心地の悪さを感じていた。
ショールを羽織ってはいるけれど、今までウェディングドレスのモデルくらいしか経験がなく、こんな露出の多い格好は初めてだった。
みんなシャンパン片手に音楽を楽しみ、船は沖へどんどん進んでいった。
「これって、公海に出てるんじゃない?」
私は少し不安になって聞くと、「そう、公海よ。あとでゲームが始まるから、無理しないでね!」
と答えられた。
目的地に着くと、誰かが釣り道具を取り出し、スタッフ二人がキラキラの衣装を運んできた。
「最初は人魚ゲーム。参加は自由、最初に釣り上げられた人には賞金百万円!」
百万円と聞いた瞬間、私は目を輝かせて思わず手を挙げた。
「私、やります!」
りさは私を恨めしそうに一瞥した。
「このお金は簡単には稼げないよ。ベッドに寝ているよりもずっと難しい」
「死ぬことはないよね?」
「普通は死なないけど……」
「死ななければ大丈夫だね」
私はスタッフの指示に従い、特別な尾鰭の衣装を着た。それを着ると、ほんとうの人魚のようになった。
現場には5人の女の子が自ら参加していて、りさは私たちと争うのが面倒で、昔の知り合いと酒を飲んでいた。
私たちは次々に海に飛び込んだ。
数人の富豪の若者たちが釣り竿を下ろしていた。
釣り針には餌がなく、ただ光る鋭いトゲだけがついていた。
ある女の子が近くの釣り針に素早く泳ぎ寄り、手を伸ばそうとした。
しかし隣にいた女の子が彼女を引き止め、水中で強引に引きずり下ろした。
「最初に釣られようなんて、無理だよ!」
富豪たちは水中での彼女たちの争いを興味津々で見て、みんな笑い転げていた。
私は気づいた。私たちは魚で、彼らは私たちを釣ろうとしている。
その釣り針は、自分で引っ掛かりに行くものだった。
魚尾のドレスを触ってみたが、釣り針を引っ掛ける部分はなかった。
別の女の子が一つの釣り針に近づき、左手で釣り針を握った。すると、そのトゲが手のひらに刺さり、血が流れた。
「なるほど!」
このゲームは思っていた以上に血なまぐさい。
「こうた、これがお前の釣り竿だ」
「ハハ、これで僕の勝ちが決まりそうだな」
松田こうたは釣り竿を引き始めた。すると、女の子が少しずつ引き上げられ、手が釣り針にかかり、苦痛に満ちた表情を浮かべた。
隣の女の子が素早く泳ぎ寄り、釣り針に引っかかっている女の子の魚の尾を掴んで、力いっぱい引き下ろした。
「痛い!」
釣り針にかかっていた女の子は悲鳴を上げ、手のひらが鋭い釣り針に引っかかり、指と一緒に裂けてしまった。彼女はそのまま海に落ちてしまった。
海面には血が浮かび上がり、すぐに広がっていった。
周りの富豪たちは大笑いしていた。
「この魚たち、なかなか手強いな」
こうたは釣り竿を再び下ろし続けた。
5人の女の子の中で、私だけが静かにその様子を見守り、彼女たちが水中で争うのを見ていた。
これが裕福な人たちの遊びなのか?
人の命をぞんざいに扱うなんて。
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