子なしを誓った夫、義妹と双子を作ってました第1話
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黒川修造(くろかわ しゅうぞう)と連れ添った三十年。私・佐倉青葉(さくら あおば)は、不運にも十五回もの流産を繰り返した。
四十歳になった年、医師から非情な宣告を受けた。
「もう二度と、子供を授かることはできません」
それを聞いた修造はひどく悲しみ、私を安心させるためだと言って、その日のうちにパイプカット手術を受けてくれた。
……
修造の還暦祝いを目前に控えたある日。義理の妹である佐倉百合(さくら ゆり)が、都会から男女の双子を連れて、祝いにやってきた。
その時、思いもよらず彼女の「心の声」が聞こえてきた。
[青葉は本当に、骨の髄までおめでたい女ね。自分が不妊になるよう仕組まれたとも知らずに、私と修造の子供を二十年も育ててくれたんだから]
悲しみに暮れる間もなく、今度はその双子の声が響いた。
[親父の還暦祝いが済んだら、このババア名義の財産を全部俺たちに相続させて、さっさと叩き出してやろうぜ]
……
私は、手の中にあった実家の立ち退き通知を、きつく握りしめた。
口角に、冷たい笑みが浮かぶ。
天に感謝しなくては。この者たちの、あまりにも薄汚い本音を聞かせてくれたことに。
だったら、この五千万円の立ち退き補償金も、私一人で独占させてもらうわ。
* * *
黒川修造(くろかわ しゅうぞう)と連れ添った三十年。私・佐倉青葉(さくら あおば)は、不運にも十五回もの流産を繰り返した。
四十歳になった年、医師から非情な宣告を受けた。
「もう二度と、子供を授かることはできません」
それを聞いた修造はひどく悲しみ、私を安心させるためだと言って、その日のうちにパイプカット手術を受けてくれた。
……
修造の還暦祝いを目前に控えたある日。義理の妹である佐倉百合(さくら ゆり)が、都会から男女の双子を連れて、祝いにやってきた。
その時、思いもよらず彼女の「心の声」が聞こえてきた。
[青葉は本当に、骨の髄までおめでたい女ね。自分が不妊になるよう仕組まれたとも知らずに、私と修造の子供を二十年も育ててくれたんだから]
悲しみに暮れる間もなく、今度はその双子の声が響いた。
[親父の還暦祝いが済んだら、このババア名義の財産を全部俺たちに相続させて、さっさと叩き出してやろうぜ]
私がその衝撃から立ち直る間もなく、百合が双子を連れて私の目の前に現れた。
表面上は和やかな顔をしている三人だが、その腹の中は真っ黒だった。
今まさに、修造が足取りも軽く、上機嫌で百合の手から荷物を受け取っているところだ。
「遠慮なんかするな。今回はゆっくりしていけよ、姉さんにしっかりもてなしてもらえばいい」と彼は笑う。
その時、してやったりの笑い声が私の脳内に直接響いた。
[この何年間、毎月君たちに会いに都会へ通っていたが、子供たちも大きくなったし、これで俺もようやく安心できるぞ]
私は危うくその場にへたり込みそうになり、背中には冷や汗がびっしりと浮かんだ。たった今聞こえたのは、間違いなく彼らの「心の声」だ。
そうか。この何年間、修造が「買い出し」と称して毎月都会へ出かけていたのは、百合たち母子に会うためだったのだ。
百合が非情な男に捨てられ、身籠っていた双子を未婚で産んだと知ってからというもの、私たちはこの何年、いろいろと彼女を援助してきた。
お金を出し、労力を費やしてきたというのに、結局のところ、この双子は修造の子供だったというわけだ。
計算してみれば、あの子たちは今年でちょうど二十歳になる。
二十年前――それは私が初めて流産した年だ。
それ以降、私が妊娠するたびに、なぜか必ず「不慮の事故」が起きて流産してしまったのだ。
私は目から零れ落ちそうになる涙を必死に堪えた。お腹の中にいた罪のない我が子たちを想うと、胸の奥が苦さでいっぱいになる。
とっくの昔に、彼のために隠れて子供を産んでいた女がいたのだ。
そして、その女が他ならぬ百合だったなんて!
私がいつまでも荷物を受け取ろうとしないのを見て、修造は途端に冷たい口調になった。
「おい青葉、何ぼーっとしてるんだ?さっさと布団を敷いて部屋を片付けてこいよ」
私には険しい顔を向けたくせに、修造は振り返ると、百合に向かって笑顔で言った。
「今回はゆっくりしていけ。俺の還暦祝いが終わってから都会に戻ればいいさ!」
双子たちは、私の足元にドンッと荷物を放り投げ、見下すように言った。
「おばさん、俺は日当たりのいい部屋にしてよね」
「そうね、私の部屋は絶対にエアコン付きにして。じゃないと眠れないから」
百合も遠慮する素振りすら見せず、笑って言った。
「姉さん、私はあなたの寝室を使わせてもらうわね。腰が悪いから、柔らかいベッドじゃないとダメなのよ」
私がその場に立ち尽くし、何の反応も示せずにいると、脳内にまたしても軽蔑に満ちた声が響いてきた。
[このクソババア、何年も俺の母さんの場所を横取りしやがって!]
[自分は卵も産めない石女のくせに、そのせいで私たちがパパと名乗り合えなかったんだから!]
[青葉ってば、本当に笑われ者ね。他人の子供を養わされながら、夫の心すら手に入れられないんだから!]
聞くに堪えない言葉の数々が、鋭い刃のように私の鼓膜を突き刺す。
この何年間、百合を援助するため、長期休みになるたびに、私は彼女たち母子を家に招き、一、二ヶ月ほど滞在させていた。
子供たちは皆、親しげに私を「おばさん」と呼んだ。我が子を失った苦しみを埋め合わせるように……
私はこの双子を、まるで自分の本当の子供のように可愛がってきた。それなのに、彼らは恩を仇で返すような真似をしたのだ!
今まさに、修造は百合と双子を連れて、楽しそうに玄関の外へ歩き出そうとしていた。
しかし、振り返って私に向けた顔は冷たく、鼻で笑うように言った。
「あいつらを少し案内してくる。夕飯は豪華なものを用意しとけよ」
連れ立って出て行く四人の後ろ姿は、どこからどう見ても「幸せな一家団欒」そのものだった。
床に散乱した彼らの荷物は、まるで無惨に破綻した私の結婚生活そのものだった。
私は、手の中にあった実家の立ち退き通知書をきつく握りしめ、口角に冷たい笑みを浮かべた。
天に感謝しなくては!この者たちの、あまりにも薄汚い本音を聞かせてくれたことに。
修造の還暦祝いの当日に、この朗報を教えてやろうと思っていたけれど、もうその必要はないわね。
この五千万円の立ち退き補償金は、私一人で独占させてもらうわ!
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