モラハラ彼氏が狂った第1話
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雨宮静雄(あまみや しずお)を追い続けて5年、私たちはようやく結婚の日取りを決めた。
だが結婚式まで残り100日になっても、彼は各地で遊び回り、私の前に姿を見せない。式の前日になると独身パーティーに行くと言い訳して、一晩中帰ってこない。
そんな中で、私は彼の後輩から一枚のベッド写真を送られてきた。
【ごめんね。昨日は激しすぎてさ。新婚初夜は期待しない方がいいよ】
【ああ、忘れてた。静雄先輩ってそもそもあんたのこと愛してないよね。ちゃんとできるかどうかも怪しいし。おこぼれすらもらえないんじゃない?】
そのメッセージを突きつけ、静雄に問いただすと、彼はまったく気にも留めない様子で言う。
「どこか間違ってるか?明日から既婚者になるだけだろ。それまでは好きに遊んで何が悪い。
そもそもお前だって一度他の男に使われた身だろ。人に貞操を求める資格あるのか?受け入れられないなら結婚やめればいい。できるのか?」
散々に侮辱して、彼はそのまま怒ったように立ち去る。どうせまた私が黙って耐えると思っている。
でも今回はもう限界だ。私は電話をかける。「前、責任を取るって言った話、まだ有効なの?」
* * *
雨宮静雄(あまみや しずお)を追い続けて5年、私たちはようやく結婚の日取りを決めた。
だが結婚式まで残り100日になっても、彼は各地で遊び回り、私の前に姿を見せない。式の前日になると独身パーティーに行くと言い訳して、一晩中帰ってこない。
そんな中で、私は彼の後輩から一枚のベッド写真を送られてきた。
【ごめんね。昨日は激しすぎてさ。新婚初夜は期待しない方がいいよ】
【ああ、忘れてた。静雄先輩ってそもそもあんたのこと愛してないよね。ちゃんとできるかどうかも怪しいし。おこぼれすらもらえないんじゃない?】
そのメッセージを突きつけ、静雄に問いただすと、彼はまったく気にも留めない様子で言う。
「どこか間違ってるか?明日から既婚者になるだけだろ。それまでは好きに遊んで何が悪い。
そもそもお前だって一度他の男に使われた身だろ。人に貞操を求める資格あるのか?受け入れられないなら結婚やめればいい。できるのか?」
散々に侮辱して、彼はそのまま怒ったように立ち去る。どうせまた私が黙って耐えると思っている。
でも今回はもう限界だ。私は電話をかける。「前、責任を取るって言った話、まだ有効なの?」
「ようやく決心がついたか。だが、俺が責任を取る以上、もう他の男と関わることは許さない。あの事故は俺だけの責任じゃないからな」
受話器の向こうの男の声は静かで冷たい。それでも不思議と安心する。
「決めた。後悔はしない」
今日まで、顔すら覚えていない相手と結婚するなんて考えたこともなかった。しかも、その相手はかつて私の純潔を奪った男だなんて。
そこまで考えて、私は記憶に沈んでいく。
私と静雄は幼なじみで、本来ならあの日は私たちの婚約の日になるはずだった。それなのに、小林海咲(こばやし みさき)に酒を飲まされ、私は見知らぬ男と関係を持ってしまった。
アルコールのせいで一部の記憶は曖昧だが、海咲が私を部屋まで連れて行ったことだけははっきり覚えている。
問い詰めようとするも、彼女は浮かれすぎて高架橋から転落し、植物状態になると聞かされる。私は自業自得だと冷ややかに思う。
だが静雄に対しては、私は後ろめたい立場だ。
私はすべてを打ち明け、結婚を取りやめると伝えた。
しかし彼は拒んだ。「それでも愛してる」
その言葉に胸がいっぱいになる。
「でも、お前が純潔を失ったことは事実だ。だから、これから5年間、俺を追いかけることで帳消しにしよう」
そんな理不尽な条件でも、私は迷わず受け入れる。
この五年を罪をあがなう期間だと思い込み、終わればまたやり直せると自分に言い聞かせる。
そしてようやく結婚の話ができるところまで来たのに、彼は突然人が変わったように振る舞い始める。
最初は露出度の高いストリーマーに投げ銭をする程度だったが、やがて行動はエスカレートしていく。
最後には帰らない夜が続き、女遊びに溺れていく。
復讐だとわかっている。それでも私は、この得がたい機会を手放さないよう自分に言い聞かせ続ける。
彼と海咲のベッド写真が届くまでは。
彼がいるバーに急いで向かい、真意を確かめようとした時、カウンターに座る彼の姿が目に飛び込んできた。
彼はタバコを吸い、気持ちよさそうにしている。
取り巻きの友人が尋ねる。「もうすぐ結婚だろ?なんで急に他の女と寝たりしたんだよ?」
静雄は苛立ったように言う。「木村由夏(きむら ゆか)のことは好きだ。でもあいつが先に他の男に体を許したと思うと、どうしても気持ち悪くなる。
だから俺も海咲に初めてをやった。それでチャラだ。その後はちゃんと落ち着いて暮らす」
でも、私はもう彼をいらない。
あの事故は私のせいじゃない。5年も傷つけられて、それでも足りないのか。
込み上げる悔しさの中で、私は有栖和臣(ありす かずとみ)のことを思い出す。あの時、同じく罠にかかった男。
「本意ではなかったが、君の純潔を奪ったのは事実だ。君さえよければ、俺が責任を取って結婚してもいい」
慌てて逃げ出そうとする私の手を引き、彼はこうも言った。「無理に決めなくていい。いくらでも考えてくれて構わない。この提案はずっと有効だ」
彼は嘘をつかなかった。
5年経った今でも、電話一本で理由も聞かずに結婚の手続きを整えてくれる。
憎しみをぶつけてくる男と一緒にいるより、彼についていく方が、ずっと幸せになれるはずだ。
私は過去の記憶を振り払い、こめかみを押さえながら時間の相談をする。「今夜、迎えに来てもらえる?明日、私は結婚する。もうあの結婚はしたくない」
すると向こうは軽く笑う。「必要ない。そこで待っていればいい。明日、迎えに行く」
「分かった。予約を入れておくわね。あそこは一般の人は入れないから」
「いらない。そんな場所、うちのトイレより狭い。そのまま買い取ってしまえば済む話だろう」
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