ダメ男の夫と離婚した後、実家が立ち退きになった第3話
この話は約1710字。当サイトで読める3話の試し読みのうち、最後の話です。続きの第4話からは公式アプリで読めます。
荷物をまとめ終えたところで、元義母の増岡美那が20インチの小さなスーツケースを広げ、中身を念入りにチェックし始めた。
まるで私が増岡家から一本の糸でも持ち出していないか警戒しているようだった。
彼女の行動を冷ややかに見つめながら、ただ滑稽だと思った。
この家のすべて、家具にせよ、増岡健吾の下着にせよ、全部が私の持参金で払われたものだ。
本来なら、私が彼らを追い出してもおかしくない立場だというのに。
家を出る際、増岡美那は得意満面で玄関先に鞭炮を鳴らしながら叫んだ。
「厄介者が去っていき、幸運が舞い込むよ!」
増岡家に嫁いだことが、まるで前科のように思えた。
ホテルに一時的に身を寄せながら、実家に離婚の報告をどう切り出すか思案していた。
そんな折、友人からひっきりなしにメッセージが届いた。
「増岡健吾、どうしたのよ!あんた、彼のSNS見た?」
携帯を開いてみると、目に飛び込んできたのは得意げな増岡健吾の姿。
彼に寄り添う愛人の肩を抱き、腹を撫でるポーズで写っている。
愛人は膨らんでいない腹を押さえ、さも「真実の愛」を手にしたかのような満足げな表情を浮かべていた。
「クソババと縁を切った初日を祝って! 俺が金持ちになったら、泣いて頼んできても戻さねえからな~」
彼の投稿には、取り巻きのような友人たちのコメントが続いていた。
「やっと解放されたな!やっぱり結花ちゃんがいいよな!オッパイもお尻も絶品!」
「あのクソババ、会うたび不機嫌そうな顔しやがって、離婚して正解だろ!」
「増岡さん、これで人生の頂点に立ったな!」
どうやら、この連中はみんな愛人の存在を知りながらも、私を「奥さん」と呼び続けていたのだ。
でも、増岡健吾は本当に馬鹿みたいだ、まるで「愚か者」のラベルを顔に貼って歩いているかのようだ。
こいつらのような腐った連中は、毎回増岡健吾に投資を勧めて、投資するたびに必ず損失を出していた。もう少しで私の持参金まで使わせようとしたくらいだ。
私がいい顔をしていられるわけがない。
私は口元に笑みを浮かべ、コメント欄に書き込んだ。
「おやおや、増岡さん、ついに成功者に?でも全身偽物だらけじゃないの?
この子も気の毒ね。こんな貧乏人と一緒にいて、バッグひとつ買ってもらえないなんて」
増岡健吾はおそらく、コメント欄で自分への賞賛の声を楽しんでいた。
しかし、突然私のこのコメントが現れると、すぐに電話がかかってきて、怒りをあらわにしながら罵声を浴びせてきた。
「柳元清子、てめえが俺に意見する資格があるのか?」
俺が施してやらなきゃ、どんな生活送れてたと思ってるんだよ?」
怒りに任せてまくし立てる声を聞きながら、私は無言で通話を切った。
かつて、彼との電話は一日中でも話し続けたかったのに、今ではその声がただただ耳障りだった。
数日間の穏やかな日々を過ごそうと思っていたのに、増岡健吾は私を許さないようだ。どこからか私が今住んでいる場所を知ったらしい。
食事のためロビーに降りると、彼は愛人に買った一百万円のバッグを提げ、愛人を連れて何度も私の前を通り過ぎて、嘲笑の表情を浮かべていた。
「このホールを三周這って回って、『増岡様、私が間違ってた』って言えばさ、掃除婦として家に戻してやってもいいぜ?」
私は彼の目の前で宅配便を受け取り、中身を取り出した。それはLVの新作バッグだ。
そのまま彼に白い目を向け、部屋に戻る。増岡健吾の顔が青ざめていたが、気にもしなかった。
それでも彼は嫌がらせを止めなかった。
夜にはスクリーンショットを送りつけ、インフルエンサーに四百万も課金したと言って自慢げに語る始末だ。
私は「ダサすぎる」と一言返信し、本物の金持ちが豪遊している動画を送り返した。
翌日、彼のSNSには早速「金持ち」の暮らしぶりが投稿されていた。
仕事を辞め、高級サウナやゴルフ場、サーフィンに明け暮れる生活を自慢する投稿が続き、毎日、愛人を連れて高級ブランド店を巡っている。
まるで日記をつけるかのように、一つ一つ欠かさず送ってきて、全部私に見せてくる。
私は増岡健吾が貯金を使い果たし、長らく補償金が振り込まれない時、顔に浮かぶ素晴らしい表情を、待ちきれず見たいと思っている。
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