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ゾンビ溢れる世界、彼は幼馴染のために私の活路を絶った第1話

この話は約2206字。当サイトでは第1〜3話を試し読みできます。

ゾンビが蔓延る終末世界で、私の恋人は、撤退時間を遅らせろと喚いていた。

たった一人――彼の我儘な幼馴染を最後の救援ヘリに間に合わせるためだけに。

これは人類に残された最後の撤退作戦。私たち生存者チームにとって、唯一の活路だった。

彼女がいくら待っても現れないから、私はやむなく恋人を気絶させ、ヘリに担ぎ込む。

彼が執着した幼馴染は、やがて津波のように押し寄せたゾンビの群れにのまれ、絶命したと聞いた。

辛くも生き延びた私は、恋人と安全区域で束の間の平穏な日々を送る。

やがて私が安全区域の全権を掌握し、人類の存亡を懸けた反撃作戦を開始しようとしたその前夜――

恋人は私の飲み水に睡眠薬を盛り、蠢くゾンビの群れへと私を突き落とした。

何百、何千というゾンビに内臓を引きずり出される激痛の中、私の意識は途絶える。

城壁の上から、彼が冷たく笑う声が聞こえた。

「お前が自分勝手でなければ、穂香ちゃんにも生きるチャンスはあったんだ。

彼女が味わった苦しみを、お前もその身で味わえ。命で償うんだな!」

――そして、二度目の人生がスタート。私は恋人が、撤退を遅らせろと騒いでいたあの運命の日に戻れた。

そんなにあの女と生死を共にしたいと言うのなら。

望み通り、二人まとめてゾンビの餌にしてあげる!

* * *

ゾンビが蔓延る終末世界で、私の恋人は、撤退時間を遅らせろと喚いていた。

たった一人――彼の我儘な幼馴染を最後の救援ヘリに間に合わせるためだけに。

これは人類に残された最後の撤退作戦。私たち生存者チームにとって、唯一の活路だった。

彼女がいくら待っても現れないから、私はやむなく恋人を気絶させ、ヘリに担ぎ込む。

彼が執着した幼馴染は、やがて津波のように押し寄せたゾンビの群れにのまれ、絶命したと聞いた。

辛くも生き延びた私は、恋人と安全区域で束の間の平穏な日々を送る。

やがて私が安全区域の全権を掌握し、人類の存亡を懸けた反撃作戦を開始しようとしたその前夜――

恋人は私の飲み水に睡眠薬を盛り、蠢くゾンビの群れへと私を突き落とした。

何百、何千というゾンビに内臓を引きずり出される激痛の中、私の意識は途絶える。

城壁の上から、彼が冷たく笑う声が聞こえた。

「お前が自分勝手でなければ、穂香ちゃんにも生きるチャンスはあったんだ。

彼女が味わった苦しみを、お前もその身で味わえ。命で償うんだな!」

――そして、二度目の人生がスタート。私は恋人が、撤退を遅らせろと騒いでいたあの運命の日に戻れた。

……

「これが最後のチャンスだ!今すぐ出なければ、全員がここで死ぬぞ!」

隊員たちの切迫した声が響く。彼らは退路を塞いで立ちはだかる林優太(はやし ゆうた)を必死に説得している。

「穂香ちゃんがまだ来ていない!あと五分待つくらい、いいだろうが!」

優太は冷徹な表情を崩さず、その場を微動だにしなかった。

「あいつ一人のために、俺たちまで危険に晒すつもりか!林、いい加減にしろ!」

隊員たちの焦りは、すでに頂点に達していた。

見かねた一人が、優太を力尽くで引き離そうと駆け寄る。

だが次の瞬間、乾いた銃声が響き渡った。

弾丸が隊員たちの頭上を掠め、悲鳴が上がる。

「貴様、何を考えてるんだ!」

仲間たちの怒声に対し、優太は逆ギレしてみせた。

「そっちこそ卑怯者だ!恥を知れ!

穂香ちゃんが来るまで、誰もヘリには乗せん!仲間を見捨てる奴に、生きる資格なんてあるか!」

副隊長が困惑した表情で、私に視線を向ける。

「文乃さん、軍のヘリが間もなく離陸します。これ以上は、私たちも……」

私は皆をなだめるように微笑みかけると、優太の隣へ歩み寄り、そっと彼の肩に手を置いた。

「優太の言う通りだよ。私たちは誰一人見捨てない。それが、このチームの誓いでしょう?穂香が少し遅れたからといって、彼女を置いていくことはできないよ」

その言葉に、全員が息を呑んだ。私がそんなことを口にするとは、誰もが信じられないという面持ちだった。

「た、隊長……何を仰るのですか!林が恋人だからと、これみよがしに庇うなんて……」

「黙れ!」

優太が再び、威嚇するように空へ発砲する。

「文乃が決めたんだ。穂香ちゃんが来るまで待つと。なら文句を言うな!」

銃を持っていながら、さらに私の支持を得た優太は、勝ち誇ったように口の端を吊り上げた。そして、そっと私に寄り添い、優しく囁く。

「文乃、やっぱりお前は違うな。どんな時も、筋を通す」

私は微笑んで、彼の頭を撫でた。

「大切な友人である穂香を、見捨てるわけがないじゃない」

だが、優太は知らない。そもそも私には、このヘリに乗る必要などないということを。

ウイルス学の専門家である私には、電話一本で軍の専用機が迎えに来ることになっているのだ。

そして私のチームは――優太と清水穂香(しみず ほのか)という例外を除けば、全員が各分野におけるエリートだ。

前の人生で、実力不足の優太を連れて行こうなどとしなければ、私は仲間たちと安全な専用機で基地へ向かえたはずだったのに。

今度こそ、代償を払わせる。あんたたちの身勝手な判断が招いた、最悪の結末を。

心から慕う幼馴染――これまで何度もチームを危機に陥れたあの女と、共に地獄へ堕ちてもらう!

誰も反論できずにいるのを見て、優太はますます悦に入っている。

時間だけが刻一刻と過ぎていく。遠方からは、黒い津波のようなゾンビの群れが、すぐそこまで迫っていた。

その時、息を切らせた穂香がようやく姿を現したのだった。

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