あなたは吹雪の中から歩いてきた第1話
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私は結婚を踏み切らないまま、松田泰雄と7年間付き合ったが、彼は私と結婚するつもりはなかった。
その後、彼は財閥の宮脇家と結婚することになった。ただ一つの条件は、松田泰雄が常に身につけていたあの檀木の数珠を捨てること。
松田泰雄は無表情で、「ただの数珠だ、もう飽きた」と淡々と言って、バルコニーから隣の小屋裏に放り投げた。
すると、その小屋裏が偶然火事になって、みんなが驚く中、私は何も考えず火の中に飛び込んでその数珠を取り戻した。
後にネットで、あの数珠は私が大雪の日に跪いてお寺で祈り求めたものだという記事を見つけた。
* * *
私がコーヒーを持ってバルコニーに上がったとき、松田泰雄と宮脇圭織が話をしていた。
「ただの檀木の数珠じゃない。そんなに嫌いなの?」
松田泰雄はタバコを一本取り出し、目を細めて宮脇圭織を見つめた。
「もともとこういう物は好きじゃないんだ。結婚した後、毎日それを見るなんて嫌だよ」
宮脇圭織はワイングラスを手にしながら、口元に微笑を浮かべて近づいた。
「それとも、私の婚約者さん、それが捨てられないの?」
私は言葉を発することなく、無意識に息を止めて松田泰雄の返事を待っていた。
彼はどうするのだろう?
松田泰雄は少し戸惑ったようだった。
眉をひそめ、左手で無意識に右手首を触った。
一瞬、彼が断ると思った。
しかし、彼は無表情のまま淡々と「ただの数珠だよ、もう飽きた」と言って、バルコニーから隣の小屋裏にそれを放り投げた。
私は唇を強く噛んだ。痛みの後に、鉄のような味が口の中に広がった。
しかし、感じていたのは、胸をえぐられるような痛みと、心の奥から湧き上がるどうしようもない苦しみだった。
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